世界は暗闇から始まった
暗闇は孤独を埋めるように光を生み出した
光は暗闇の寂しさを紛らわせるように『声』を作った
『声』は『歌』を覚え『風』を生んだ
『風』は『慈しみ』の心を持ち『大地』が生まれた
『大地』は『草花』を育み『種』を育て
その種から様々な命を持つものが生まれた
やがて、その命たちはそれぞれ特別を見つけ
光あふれる世界に散っていった
しかし、ひとつだけまったく特別を見つけられず
『母なる樹』から離れられない子があった
それを見て哀れに思った暗闇はその子に『知識』という力を与えた
『知識』を与えられたその子は『地の者』となり
『地を統べる王』となった
光と暗闇はこうして永遠に朽ちることの無い世界を作り上げると
寄り添い世界を見守り続けた
しかし、その栄華にひとつの影が舞い降りる
光の寵愛が届かない暗闇の奥でそれは生まれた
暗闇の中で生まれたそれは『混沌』と名乗り
安らぎを与えた暗闇を飲み込んで『恐怖』を作り上げる
暗闇は片翼の『光』だけは残そうと最後の力を振り絞って
『昼』と『夜』を作り、『混沌』を『夜』へと引き込んで
光を『昼』へと逃がした
片翼を奪われた光は悲しみのあまり深海に身を潜めたが
その暗く冷たい海の底から見えた子供たちの涙が
いくつもの『星』へと変わっていくのを見上げ
その不憫さに『月』を作り出し『月光』となって『夜』を優しく包み込んだ
それを見つけた『混沌』は激昂し、『月』に赤い赤い血を降り注いだ
光はそのあまりの残虐さに涙を流し世界に『雨』を降らせた
『月』の光は穏やかなプラチナの色から赤色と変わり『夜』はまた『混沌』の世界に戻ってしまった
『混沌』はさらに光の支配する『昼』を奪おうとするが
『昼』の世界では全く光に手を出すことができなかった
どんなに光を消そうと力を振るってみても
『夜』と『昼』の境界で力は薄れて霧散してしまった
しかし、それは光も同じこと
『混沌』を暗闇から追い出そうといくら力を出しても
『昼』と『夜』の境界で力は霧散してしまった
そうして、その霧散した二つの力はそれぞれ『朝』と『夕』を作りあげ
二つの力が交じり合うこの時間は、全てを『無』にする力を持った
こうして、グレオリダーネストの世界は創られた。